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音楽出版会社が Suno のライセンス契約を証拠に変えた

公開日 2026年10月23日
音楽出版会社が Suno のライセンス契約を証拠に変えた

Reservoir Media は10月21日、カリフォルニア北部地区連邦地裁に著作権侵害の訴訟を2件起こした。1件は Suno を、もう1件は Anthropic を被告とする。請求額は合わせて約3億3,700万ドルに上る。

音楽業界が食い入るように読むのは Suno に対する訴状のほうで、そこにはしばらく引用され続けるだろう一節がある。Suno のモデルは「まず侵害し、先行者として数十億ドルを稼ぎ、後から安く和解しようとする」ものだった、と訴状は書いている。

それはレトリックだ。その下にある法的な論理のほうがはるかに面白く、しかも音楽の枠をはるかに超えて当てはまる。

数字が精密なので、まず計算から

Reservoir とその英国子会社、そして Shapiro, Bernstein & Co. は、Suno がモデルの訓練のために1,050曲を複製したと主張している。名前が挙がった作品には、Joni Mitchell の「Both Sides Now」、Johnny Cash の「Ring of Fire」、Madonna の「Papa Don't Preach」、Evanescence の「Bring Me to Life」、Miles Davis の「So What」が含まれる。

請求額は3つの請求原因に分かれる。故意の侵害1件あたり上限15万ドルの法定損害賠償で1億5,750万ドル。続いてデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく2つの請求があり、アクセス制御の回避について262万5,000ドル、著作権管理情報の除去について2,625万ドル。訴状が求める総額は1億8,600万ドルをわずかに超える。

同日に提起された Anthropic への訴状も同じ脚本で、853作品について約1億5,140万ドルを請求している。

両方とも差し止めを求め、さらに金銭より重いものを求めている。無断複製物の破棄だ。「訓練データセット、社内リポジトリ、モデルの重み、サーバー基盤に残された複製物を含む」とされている。

このリストをもう一度読んでほしい。モデルの重みが入っている。重みの破棄を裁判所に求める原告は、和解の値引きではなく製品そのものを求めている。

Macro view of vinyl grooves catching raking light as fine bright arcs

巧妙なのはここ:自分の契約が証拠になる

訓練データをめぐる訴訟の多くは、フェアユースを抽象的に争う。Reservoir はそこを避け、Suno が Warner Music Group、BMG、Believe と結んだライセンス契約を指さす。

論理は見事だ。Suno が録音物を訓練に使うライセンス契約を結んだのなら、訴状の言葉を借りれば、Suno は「訓練データ用に音楽と録音物をライセンスする市場が機能していることを、ほぼ認めた」ことになる。市場が存在するなら、フェアユースの第4要素——作品の市場への影響——は、議論を始める前から原告側に傾く。

著作権で保護された作品での訓練は市場の外にある変換的利用だと言いながら、同時に大手権利者3社にその「特権」の対価を払うことはできない。どちらかを手放すしかない。

ライセンスの実績が玉石混交のAI企業は、この論法を恐れるべきだ。ほぼ全社がそうだからだ。ストックフォトの図書館と契約し、それからオープンウェブをクロールすれば、領収書付きの自白を原告に手渡したことになる。

流出したコードが、この訴状で大きな役割を果たしている

事実の背骨になっているのは、ハッカーが入手し、404 Media が7月に報じた Suno のソースコードだ。当時の Suno の説明は、この件は主に「すでに使われていない古いソースコード」に関わるものだ、というものだった。

Reservoir の訴状は、そのコードを処理工程の説明書として読む。Suno が Bright Data からプロキシサービスを購入し、YouTube Music、Deezer、Genius からスクレイピングしたと主張し、ワークフローの具体的な件数を引いている。YouTube Music のジョブが保存したアーティストレコード2,057,486件、Genius のジョブによる「曲ページ処理成功レコード」6,980,653件。

フェアユース論争で効いてくる細部も指摘している。コードは訓練インスタンスを組み立てる際、同じ曲のカバー録音とオリジナル録音を対にする。カバーとオリジナルを一緒に訓練すれば、「モデルは特定の演奏ではなくスタイルを学んだ」という主張は弱くなる。カバーとオリジナルが共有しているのは楽曲だけで、ほぼ他に何もないからだ。

その読み方が成り立つかは裁判所の判断だ。しかしこれは具体的で検証可能な主張であり、「モデルはインターネットで訓練された」という話よりはるかに却下申立てを生き残りやすい。

ガードレールの章が一番面白い

Reservoir は、Suno のアーティスト模倣に対するガードレールが簡単に迂回できると主張し、ほとんど笑えてしまう例を挙げている。

「Reba McEntire」を含むプロンプトは拒否される。ところが女性ボーカルのカントリー曲を「in the style of Reba McIntyre」——綴り間違い——で求めたプロンプトは通る。

訴状によれば、v6 では Suno はアーティスト名を含むプロンプトを受け取ると、「記述的な音楽的特徴」へと向け直す。「a Miles Davis like Blues track with horns and a quartet」というプロンプトは、どちらも「Blue Note Quartet」と題された2曲のインストゥルメンタルを生み出したとされ、Reservoir はこれを Davis の音楽の無許諾の二次的著作物だと性格づけている。「So What」は Reservoir のリストに入っている。

生成プラットフォームはどれもこの問題の変種を抱えており、音楽に限らない。名前をブロックするのは文字列フィルターだ。スタイルをブロックするには、そのスタイルが何なのかを理解する必要がある。そしてそれは、まさにモデルが訓練されてきたことそのものだ。プロンプトの層では解決できない。そうでないふりをすることが、技術的な限界を訴訟の証拠物件に変えてしまう。

画像を扱う人にとって、これが関係ある理由

名詞を入れ替えても、訴状はそのまま読める。

画像モデルにも同じような混在したライセンスの歴史がある。こちらではストックフォトと契約し、あちらではウェブを広くスクレイピングする。画像プラットフォームにも同じガードレールの芝居がある。存命のアーティストの名前はブロックし、「in the style of[綴りを間違えた名前]」は通す。そして画像分野の原告にも同じ型がある。作品ごとの法定損害賠償、DMCA の請求を上乗せし、重みの引き渡しを求める。

この訴状が引くフェアユースの判例も、同じ理由で注目に値する。依拠しているのは Bartz v. Anthropic——海賊版の複製物を恒久的に保管するライブラリの維持はフェアユースではないとした、カリフォルニア北部地区地裁の2025年6月の判断——と、第3巡回区控訴裁が9月29日に出した Thomson Reuters v. ROSS Intelligence の判断だ。どちらも画像分野の被告が向き合うことになる先例である。

もう一つ注視すべきは、戦線の積み上がりだ。Suno はすでに Universal Music、Round Hill、ミュンヘンの GEMA、デンマークの KODA、カナダの SOCAN、そして独立系アーティストの集団と争っている。8つの戦線を同時に抱える被告は、そのどれか一つで安く和解することはできない。まさに「後で和解する」ビジネスモデルが想定していなかった状況だ。

必要なただし書き

ここに書いたのはすべて訴状における主張だ。裁判所はまだ何も認定していない。報道時点で Suno は公に反論していなかったし、「コードがXを示している」というのも、裁判官が判断を下すまでは原告による文書の解釈にすぎない。

争いがないのは、この戦略の形のほうだ。権利者たちは、AI 訓練が文化にとって良いか悪いかを論じるのをやめ、紙の痕跡——ライセンス契約、流出したリポジトリ、ガードレールの迂回——を軸に事件を組み立て始めた。こちらは「雰囲気」では勝てない戦いだ。

生成モデルの上に何かを作る人にとって、実務的な教訓は地味で、しかも差し迫っている。自社のベンダーが何をライセンスし、何をスクレイピングしたのかを把握すること。もし訴訟になれば、その2つの差が訴訟の全体になるからだ。

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