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Claude Codeを「求職パイプライン」に変えた男——69通の応募、20回の一次面接、そして内定

公開日 2026年10月18日
Claude Codeを「求職パイプライン」に変えた男——69通の応募、20回の一次面接、そして内定

「AI 就活」ツールというジャンルには、もともと信頼性の問題がある。しかもそれは技術的な話ではない。どうせ中身はキーワードを詰め込んだだけの PDF で、採用担当者なら四秒で見抜くだろう——みんながそう勘ぐっている。

だから ai-job-search についてまず報告すべきは、作者がそれを何に使ったかだ。Mads Lorentzen による MIT ライセンスのこのフレームワークは、Claude Code を求職パイプラインに変える。彼はこれで 69 通応募し、20 回の一次面接に進み、AI エンジニアとして内定にサインした。しかも、使ったことは全ての雇用主に伝えたと言っている。これは非常に良い兆候か、非常に運が良かったかのどちらかだ。おそらく両方だろう。

次に報告すべきは、面白いのは書く工程ではなく、確認する工程だということだ。

本当に重要な三つのコマンド

/setup はプロフィールを埋める。入口は三つ。documents/ フォルダを指定する、履歴書を一枚貼り付ける、インタビュー形式の質問に答える。作者ははっきりと言う。プロフィールの厚みがアウトプットの質を決める最大の要因であり、薄いプロフィールからは当たり障りのない応募しか生まれず、どんなに気の利いたプロンプトでもそれは覆せない、と。

/scrape は求人ポータルを検索し、重複を排除し、マッチ度で並べる。ポータル対応は市場ごとだ。同梱分はデンマーク(Jobindex、Jobnet、Jobbank、Jobdanmark)をカバーし、加えて国境を越えるスキルが二つ——LinkedIn の未認証公開エンドポイントに地域フラグを付けて叩くものと、テック職に特化した無料 REST API を使うもの。/add-portal は新しいスキルを生成してテストする。

/apply <url> が一番面白い。八つのステップを踏む。求人票を解析し、マッチ度を採点し、求人に合わせた LaTeX の履歴書とカバーレターを起草し、その両方を独立したレビュー用 agent に渡す——この agent は自分専用のコンテキストを持ち、企業を調べ、草稿に文句をつける。そして修正、コンパイル、レンダリングされた PDF の目視確認、最後に ATS チェック。

コンパイルして PDF を眺めることが、この仕組みの全て

言語モデルで LaTeX 文書を生成したことがある人なら、あの失敗の仕方は知っている。ソースは完璧に見える。ところが PDF では、一ページ目の下端に見出しだけが取り残され、カバーレターは一行だけ二ページ目にはみ出し、箇条書きはこっそり別のフォントに落ちている。

このプロジェクトはそのループを閉じる。履歴書は lualatex でちょうど二ページ、孤立した見出しなしでコンパイルされなければならない。カバーレターは xelatex でちょうど一ページ、署名が見える状態でコンパイルされなければならない。agent はレンダリング後のページを読み、制約が満たされるまで反復する。

履歴書が長くなったとき、一番古い職歴をばっさり切ったりはしない。各行を、この求人との関連性、文書内での固有性、カバーレターがその行に依存しているか、の三点で採点し、合計が最も低い行を落とす。小さなディテールだが、意味は大きい。特定の職務のために実際に履歴書を削ったことのある人の振る舞いであって、ルールに従っているだけの人のそれではない。

ATS チェックこそ、他の誰もやっていない部分

応募者追跡システムは、あなたの美しいレイアウトを読まない。読むのは埋め込まれたテキストレイヤーで、LaTeX は「技術的には存在するが、実用上はゴミ」というテキストレイヤーを作るのが有名なほど得意だ。アイコンフォントがメールの記号として描画され、抽出すると何も出ない。リガチャがキーワードマッチを壊す。段組が読み順をかき乱す。

このフレームワークは pypdf か pdftotext でテキストレイヤーを抽出し、連絡先がリテラルなテキストとして現れているかを検証し、文字化けと読み順をチェックし、そのうえでキーワードのカバー率を求人票と突き合わせる。どちらのツールも入っていなければ、黙ってスキップするのではなく、視覚的なキーワードチェックへと劣化動作する。

これが、書類を作るツールと、採用システムに晒されても生き残る書類を作るツールの違いだ。

正直な制約——捏造はしない

明文化されたルールは、スキルも経験もでっち上げないこと。プロフィールが支えられないキーワードは、詰め込むのではなくギャップとして印を付ける。これは倫理的な立場であり、同時に実務的な判断でもある。捏造した経験は面接で暴かれる場所であり、このツールの仕事はあなたを面接まで連れていくことだけだ。

言語のゲートもある。/setup は実務で使える言語とそのレベルを全て集める。申告のない言語は問答無用で却下、レベルが足りない場合は自動却下ではなくフラグが立つ。ほとんどの求職ツールはここを完全に無視していて、その結果どうなるかといえば、ドイツ語 C1 が必須の求人に、流暢そうに見える応募書類が出来上がる。

踏んではいけないプライバシーの地雷

ここはダウンロードページに太字で書くべきところで、作者も実際にそうしているのだが、繰り返す価値がある。公開リポジトリの fork は常に公開だ。GitHub は公開リポジトリの private fork を許していない。そして /setup は、あなたの氏名、連絡先、職歴、希望給与を git 管理下のファイルに書き込む。

fork して、setup を走らせて、push する。それだけで、あなたは履歴書と希望給与を、コミット履歴付きでインターネットに公開したことになる。

正しい手順はプロジェクトのセットアップガイドに書いてある。private リポジトリを新規に作り、元のリポジトリを upstream リモートとして追加する。同じ更新フローが手に入り、露出はない。fork するのは、コードを貢献するつもりがあるときだけだ。

セキュリティ姿勢、はっきり言っておく

求人票は信頼できない入力として扱われる。中に埋め込まれた指示は実行されず、中のリンクは辿られない。作者は念を押して、これは指示レベルでの防御であってサンドボックスではない、と述べている。ポータルのスキルは承認なしにあなたのマシン上で動く。だから他の fork から借りてきたスキルは一行ずつ読むべきだ——ネットワークリクエストがどこへ飛ぶか、パッケージマニフェストの依存とライフサイクルスクリプト、テストをオフラインで走らせること。フォルダのコピーがわざわざ手作業なのは、まさにそのためだ。

LinkedIn のスキルには専用の警告が付いている。自動化はプラットフォームの規約に違反するので、低頻度で、個人利用に限るべきだと。

このループのコスト

どれも無料ではない、と作者も言っている。Claude Code に無料枠はなく、サブスクか API クレジットが要る。コンパイルして眺める工程は余分にトークンを燃やす。agent がレンダリング後のページを読み、反復するからで、一つの履歴書で三、四回往復することもある。

その取引が見合うかは、自分の時間をいくらと見積もるか次第だ。一度しか送らない書類に四回の改訂サイクルは、多い。だがその書類が、そうしなければページ下端に見出しだけを残していたのだとしたら、四回は安い。その見出しこそが、読み手の第一印象における「丁寧」と「雑」の分かれ目だからだ。

見落とされがちな二つ目のコストは、プロフィールづくりの手間だ。/setup は具体性に報いる。プロジェクト、ツール、数値化された成果、チームが何をしたかではなく自分が何をしたか。薄いプロフィールからは、このカテゴリの誰もが作る当たり障りのない応募が出てくる。ツールは持っていない素材を捏造できない。そして作者は、制約になっているのはモデルではなくここだと、珍しいほど率直に言い切っている。

できないこと

リファラルは取ってこられない。そして大半の仕事は実はリファラルで決まる。交渉もしない。給与について知っているのは、setup であなたが打ち込んだ数字だけだ。採用マネージャーがあなたの元同僚だということも、この求人が七か月も開いているのはチームが役割そのもので合意できていないからだということも、知らない。

やるのは、言い訳を消すことだ。応募書類は求人に合わせられ、PDF はコンパイルを通り、テキストレイヤーはパースでき、言語要件は守られる。それを使って何をするかは、依然として求職活動そのものだ。

これは結局、何なのか

AI という装いを剥がせば、これは応募書類のビルドシステムだ。ソースが入り、成果物が出て、その間に検証ステージがある。モデルはコンパイラ。PDF の検査と ATS のテキストチェックはテスト。レビュー agent はコードレビューだ。

この捉え方があるからこそ、同じカテゴリの他のツールより面白い。仕事を取ってくるとは約束しない。約束するのは、送る書類が二ページで、機械に読めて、自分のギャップに正直で、求人に合わせてあり、そしてその約束が破れたときには教えてくれる、ということだ。

69 通の応募と 20 回の面接は、悪くないサンプルだ。証明ではない。だがこの分野のほとんどのツールが持っている証拠よりはましで、それを生んだパイプラインは自分で読むことができる。

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